中古車輸出 LCの決済条件と条件の不一致
LC(信用状)には決済のための多くの条件が付いているものがあり、中には全ての条件を満たすことが難しいL/Cもあります。
中古車をL/C決済で輸出するには、大きく分けて、L/Cを受取ってから車を仕入れ輸出する場合と先にL/Cを受取ってから輸出する場合があります。
先にL/Cを受取ってから輸出する場合にはL/Cの条件に合う車を仕入れてL/Cの船積み期限内に船積みしなければならないため、船積み期限を考えての仕入れる期限と船積みの期限が最初から設定されることになります。
この場合仕入れ価格と販売価格に十分な余裕があれば、よほど少ない車種の注文でない限りは船積み期限に間に合うように仕入れが出来ると思いますが、販売価格が低く、仕入れ価格との差額が十分でない場合にはそれに見合う車の仕入れに時間を要しL/Cの条件にある船積み期限に間に合わないケースも考えられます。
船積み期限を過ぎての船積みはL/Cの条件不一致(discrepancy)となり、船積み前のL/Cの条件変更(amend)か、L/C発行銀行に決済書類到着後に条件不一致を承諾してもらう必要があります。いずれの場合も現地バイヤーによる承諾が必要になります。
L/Cの条件変更にも、条件不一致の承諾にも銀行の手数料が発生します。そのため、船積み前にL/Cの条件変更を何度もすることは、そのたびに手数料がかかることになり、また決済書類到着後に条件不一致を承諾してもらうことに対して、条件不一致数に応じて一件ごとの手数料がかかる場合もあり、その数が多い場合には多額の手数料になってしまう場合もあります。
すでに在庫している車をL/C決済で輸出する場合には船積み期限に合わせてL/C発行前から船の予約をすることが出来るので、L/C決済条件に合わせる準備をする時間が十分あるため、最初のL/Cによる取引はこのケースのほうが無難に思えますが、書類の銀行への提出期限もあるため、船積み後に書類の作成や必要書類の収集に手間取ると、提出期限を過ぎてしまうこともあるので注意が必要です。
また、L/C決済条件には最初から取得がすることが難しい書類や、不可能とも思える決済条件が付いているL/Cもあるので、その場合には、船積み前に条件変更をするか、不可能とも思える決済条件が付いている場合には、注文をキャンセルすることを含めた検討をすることも必要に思います。
その理由は船積み後にL/Cの条件変更を拒否されたり、L/C発行銀行へ書類到着後に条件不一致の承諾が得れない場合には、輸出した売り手の負担は大きくなり、日本への貨物の戻しによる莫大な経費の負担や、輸出者側の立場の弱さにつけこんだ、大きな値引き要求をされることもあります。
通常、L/Cは取り消し不能信用状(irrevocable L/C)として決済で使われていますが、決済条件を忠実に履行することが難しい、または不可能とも思えるものもあります。そのため、L/C取引であっても現地バイヤーとの信頼関係が前提になることが求められます。
現地輸入者との十分な信頼関係があれば、条件不一致があったとしても話し合いによりそのほとんどは解決出来ることがその理由です。