台風と冠水車
日本では毎年秋が台風のシーズンになり、最近の気候変動により多くの台風が上陸するようになりました。また、台風が上陸するシーズンが長くなり、台風以外にも大雨による洪水、河川堤防の決壊も多くなり、それに伴い水没する車も多くなっているのでは思います。
それらの水没して車は所有者が部品交換や清掃などの修理をして再使用する場合と買い替えにより下取りに出されたり、買い取りされることによりオートオークションに出品される冠水車も多くあります。
オートオークションでは冠水車に規定はありますが、それを定義する明確な基準はなく、きれいに清掃され、その痕跡が表面的に確認できないものは、出品店の自己申告がなければ、車両検査の後にそのまま通常の車両として出品されています。
冠水車は発覚した時点でキャンセルの対象になりますが、オートオークションの検査で発覚しなかった場合のは落札店からのクレームの申し立てにより、オートオークションの再検査を受けることになります。
実際の水害では泥水の浸水したことで、泥の粒子が建物の隅々まで泥が侵入することがあり、それらを取り除くことにで浸水の被害を復旧させることになります。
自動車の場合も同様の復旧作業をおこなうことになりますが、建物への浸水とは異なり、室内にあるカーペットやシート内部のスポンジ、または電気系のコネクターなどに入った泥の粒子を完全に取り除くことは不可能であり、建築物のような復旧が出来ないため、オートオークションでは冠水車として扱われます。
冠水車の特徴
①室内の異臭 水害の泥水は下水などが混ざっているため異臭の原因になります。水没後に室内を完全に乾燥させたとしても、梅雨時などの湿気の多い時期には室内から異臭がします。
②室内金属部品の錆 通常室内の金属部品は水につかることはないので、それらの部品から錆が発生することはほとんどないのですが、水没したことと、その後の室内の湿気によりシートレールなどの金属部品に錆が発生します。
③電気系の故障 電気系の多くの部品は室内に取り付けられ、水がかからないようにされています。ダッシュボード内やステップ回りには多くの電気配線が通りコネクターで繋がっています。コネクター部に泥水が入ると接触不良の原因になります。これらのコネクターを全て外して泥の粒子を取り除くことは大きな作業であり、またエンジンやミッションなどを制御するコンピューターやスイッチ類のコネクターにも同様な問題を引き起こします。それに加えて部品に水がはいると部品そのものが故障します。
冠水車の問題は複数個所に故障が発生し、水没の痕跡も複数個所のわたることになります。そのため冠水車の判定は複数個所に水没の痕跡があることが前提に行われます。
オートーオークションの通常の検査は内外装の状態や修復歴が中心に行われているため、明らかに水没した痕跡でもなければ冠水車の判定を受けずにそのまま出品されます。
そのため、落札後に冠水車が疑われる場合には自己点検しクレーム申し立てをするケースが多いと思います。