輪タク
戦前戦後の一時期に輪タクという、自転車のタクシーが活躍した時代があった。
戦後まもなくの輪タク
人力といえば人間の手で押して走る鉄道や人力車などがあったが、いずれも、バスや鉄道などの交通網の発達と共に姿を消したが、戦前戦後の混乱期の一時期には戦争により多くの交通機関が破壊されたことから輪タク呼ばれたタクシーが使われた時代があった。
もともとこの輪タクは厚生車や更生車名前で昭和15年ころからタクシーの代わりに普及していったが戦後は一般的に輪タクと呼ばれるようになった。戦前は経済制裁により英米から日本への原油の輸出が禁止されていたことから、国内での一般向けのガソリンの使用が規制され、戦後はガソリンの配給がGHQにより統制されていたことがその背景にあり、その後、交通網が整備されて行くにつれて姿を消した。
戦後の混乱期には輪タクや人力車などが交通機関として活躍したが、輪タクには当初、営業活動を規制する法律や条例はなく、中には不当な料金を請求するなどする悪質な業者も現れるようになったため、それを規制する条例などが作られた。戦前では昭和16年、神奈川県の自転車運送業規則や戦後は昭和22年の警視庁の旅客軽車営業取締規則、昭和25年、東京都の旅客軽車両従業者条例などがある。
最近は人力車と共に観光地で輪タクを見かけるようになった。卵がたの流線型のボディに広告がカラーリングされた戦前とは全くことなるデザインになり、それを使って観光案内をしている。また太陽電池などの人力以外の動力を使う輪タクもあり、今後は観光地での案内役として活躍していくのだと思われる。