中古車輸出と為替レート
中古車輸出はオートオークションの相場と為替レートに大きく影響されます。そのため外貨建てでの決済は損失になる危険が常にあります。中古車輸出では円建て決済をは少なく、ほとんどの国々では米ドル建ての決済が一般的です。
中古車の相場はオートオークションの相場であり、個別車種の相場やオートオークション全体の相場は常に上げ下げがありますが全体としては年を追うごとに下がって行っているのですが、様々な要因で一年間の中でも上げ下げがあります。
高く買った車を長く在庫してオートオークションの相場が下がった場合には海外のバイヤーへの売り相場も下がることになります。それとは別に為替相場の変動でも米ドル建ての取引の場合では売り相場は変動します。
米ドル建てといってもアメリカへ中古車を輸出のであれば、円とドルの為替相場だけで売り相場は変動しますが、日本からの中古車の仕向け地はアジア、アフリカ方面などの国々になるため、現地通貨を米ドルに両替しての米ドル建て取引になるので、円とドルの為替相場に加えて現地通貨と米ドルの為替相場も販売価格に大きく影響します。
ここのところ中国の経済状況の悪化のため資源価格の値下がりがあり、それに伴って資源輸出国の通貨が下がっています。例としては銅を輸出しているザンビアの通貨クワチャはここ一年で対米ドルでその価値が半分になりました。円ドルレートでは一年で半分になったり倍になったりすることはないのですが、新興国の通貨では為替レートが大きく変動することがあります。
自国通貨が対ドルレートで一年で半分になるということは、車の価格が自国の通貨で倍になることを意味し、ザンビアでは30000クワチャの車が一年で60000クワチャに値上がりすることになります。現地の状況に合わせて、同じ米ドル建ての価格で販売しようとすると、米ドル建ての価格を半値まで下げなければ現地通貨での販売価格を同じにはできません。
円安は輸出にとっては良い状況と言われていて、ドル建て決済の取り引では円が値下がりした分の差益が生まれますが、円での利益が増えた分オートオークションでも今までより高く仕入れることができるのでオートオークションの相場を押し上げる原因になります。結果的には売上で差益が出た分を仕入れ価格が高くなった分で相殺してしまう状況なので、製造業で円安によって利益が改善されるようにはなりません。
また、船賃(freight)は米ドル建てになっているため、自動車一台の船賃は立米(M3)あたりの船賃($)を自動車の容積 X 立米(M3)あたりのドル価格で計算されますが、実際に支払をするのは日本国内なので円で支払うケースは多いため、円安が進行すると結果的に船賃が値上がりし、円安で増えた円の利益を減らす原因になります。
結果的には現地通貨が米ドルに対して大きく下がると車が売れないということになります。売ることが難しい状況になると、販売競争が激化することになり、販売相場全体が下がることになります。販売相場が下がり輸出台数が下がると、それに伴い貨物の奪い合いが激化し、船賃(freight)が下がることになります。そこへ景気の停滞の影響などからコンテナ船が参入すると船賃がさらに下がることになります。
円高になると現地バイヤーは車が買いやすくなるのですが、輸出する側は同じ価格で販売するわけにはいかないので値上げすることになるので、販売の状況は円安の場合と大きく変わらないのですが、ドル建ての船賃の支払いを円ですれば安くなるのですが、円高の影響分をすぐに値上げするわけにもいかないため、船賃が下がった分で利益の状況を改善させるまではにはなりません。
中古車輸出は円安、円高に関わらず状況が好転することはないようです。