自動車 内燃機関の終焉

自動車の誕生以来の100年以上の間、動力源としての主役であり続けている内燃機関(ガソリンや軽油をシリンダー内で燃焼させる原動機)が終わりに近づいているようだ。

1886年 ベンツ

動力は人力、家畜を使ったものなどから石炭を燃やし蒸気を動力に変える外燃機関である蒸気機関から燃料をシリンダー内で燃やす内燃機関と変遷し、産業革命以来、化石燃料を燃やし続け二酸化炭素の排出し続けた結果、大気中に二酸化炭素が溜まり続け、それが原因で地球が温暖化し気候を大きく変動させていることはほぼ間違いないようだ。

もともと地球には大量の二酸化炭素が存在したが海に吸収され生物の活動によって森林やサンゴなどの生物の体に蓄えられてその濃度を下げて低くバランスされてきた。大きな気候変動は人類が放出した温室効果ガスを地球環境が吸収できる量を超え二酸化炭素の循環が機能しないまでに膨らませた結果だ。温暖化による気候変動は少しづつ気温が上がっていき緩やかに気候が変動していくものではない。それは極端な気象現象として現れる。海水温の上昇により、もともと雨の少ないところでは全く雨が降らない干ばつが頻発し砂漠化が進む。雨が降るところでは災害的な豪雨が頻発し、台風はより大型化して大災害をもたらすようになる。

化石燃料は自動車に限らず航空機や船舶でも使われている、その他、発電所や工場などでの産業用としても個人用としては冬場の暖房として灯油や石炭も使われている。これらを自然エネルギーに切り替えていく中に電気自動車(EV)も含まれる。

日本では未だに電気自動車は普及率が低く街中でもほとんど見かけることはない。たまに郵便局の軽バンやごくまれにテスラを都心で見かける程度でしかない。実際には軽自動車を含めた乗用車ではガソリン車がその中心でハイブリッド車やプラグインハイブリッドがそれに続くようだ。小型のトラックではガソリンや軽油、中型以上では軽油が中心でCNGが混ざっている程度に見える。

日本の電気自動車では日産が他の自動車メーカーに先駆けて乗用車のリーフを発売して充電設備の表示を街中や商業施設などで目にするようになったが、その車を見かけることは少なく、販売台数も少ないようだ。日本で電気自動車が普及してないのは世界でトップメーカーを誇るトヨタがハイブリッド車を未だにその中心に据えていることが大きな原因のようだ。

それが原因なのかは定かではないが行政も電気自動車の普及の後押しをしてないように見える。世界有数のEV先進国であるノルウェイでの普及とは対照的だ。先進国と言われる国々では2030年から2035年くらいまでにガソリン車の販売を禁止し、退路を断って地球温暖化を止めるために厳しい規制をかけ、電気自動車の奨励金や補助金などで普及の後押しをしている。中国でも同様に政策的に電気自動車の普及を進めている。

ハイブリッドやプラグインハイブリッドは電力を動力源にしているようにも見えるが、電池の容量や電気のみでの航続距離の違いは有れど、動力源としてもガソリンエンジンを積んでいるのだから世界では電気自動車としてはみなされていない。化石燃料を燃やしているのだから当たり前のことだ。

ガソリン車と電気自動車では生産コストの違いも大きい。電気自動車の動力源であるモーターは磁石にコイルで軸を回す単純構造でそこに電池から電力を供給するだけだ。それに対しガソリンエンジンは燃料タンクから電磁ポンプで燃料に圧力をかけカムシャフトでバルブを適切な時期に開閉させ燃焼室(シリンダー)へ混合気として送り込む。更にシリンダー内のピストンを上下させクランクで回転運動に変えて動力として取り出す。燃焼の副産物としての排気ガスはバルブから排気管を通り触媒で浄化されて排出される。 ハイブリッドやプラグインハイブリッド ではこの複雑な機構に電気自動車の動力も組み合わせている。

電気自動車とガソリン車やハイブリッド車でその生産コストは比較にならないほどになるのは当然であり、電気自動車が普及すれば自動車の価格はガソリン・ハイブリッド車に比べ極端に下がるのは明らかだ。今現在、インドや中国で生産する数十万円の電気自動車からテスラモーターズの数百万円の高級車まで様々あるが、開発販売が遅れている日本の自動車メーカーはどうするのだろうか?宅配大手の運送会社が中国のメーカーと共同開発した宅配用の電気自動車の輸入など電気自動車のニュースを目にすると日本の自動車王国としての地位が揺らいでいくようにも見える。

この間、燃料電池車(FCV)もトヨタとホンダで生産販売されてきたが、水素ステーションの整備が進まず、ホンダの燃料電池車 (FCV)は2021年で生産中止する。FCVの都バスを見かけることもあるがFCV乗用車のミライは見かけることはほとんどない。これもいずれは生産中止になるのではないか?

戦後、工業製品を輸出して発展してきた日本だが、輸出できる主な工業製品も残すところ自動車のみになった。内燃機関であるガソリン・ディーゼルエンジンの終焉と共に日本からの工業製品の輸出もほとんど終わってしまうのかもしれない。

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