油圧ブレーキと媒力装置
自動車のブレーキは油圧で作動します。
戦前や戦後間もなくのことまでは、ロッドでブレーキを作動させるシステムもありましたが、制動力を4輪に均一に伝えることが出来ないため、今では全ての4輪車が油圧でブレーキを作動させています。
ブレーキオイルは沸騰してオイルに泡が入らないようにはなっていますが、その中に泡が発生すると泡が制動力を吸収することになり、制動力が落ちます。この場合はブレーキオイルの抜き替えが(エアー抜き)が必要になります。
ブレーキオイルは湿気を吸収せるため(吸湿性)湿気を吸って変質します。また車体の塗装面に付着すると塗装が剥離するため、取扱には注意が必要です。
また、乗用車の全ての前輪ブレーキがドラムブレーキからディスクブレーキになったことから、足のペダルを踏む力を補う、媒力装置(マスターバック)が付くようになりました。
ディスクブレーキ
ドラムブレーキ
ディスクブレーキは放熱に優れていますがドラムブレーキに比べて制動力が弱いため、前輪のディスクブレーキが普及するとともに媒力装置(マスターバック)が標準装備されるようになりました。
ブレーキオイルの後ろにある黒いお椀の形をしたものが媒力装置(マスターバック)
マスターバックはエンジンの空気を吸う力(負圧)を利用するためエンジン停止状態では、その機能を使うことが出来ません。そのため、エンジンが故障した場合のけん引ロープを利用してのけん引時には、ブレーキペダルが固くなり制動力が極端に落ちるので注意が必要です。
スポーツカーや中型車以上の4輪ディスクブレーキの車ではサイドブレーキ専用のドラムブレーキがフットブレーキとは別系統で装備されワイヤーで作動させています。