最初の人工動力 蒸気機関②
1673年オランダの科学者クリスチャン・ホイヘンス(Christiaan Huygens 1629-1695)とフランスの発明家ドニ・パパン(Denis Papin 647-1712)は協力して火薬の爆発力を利用してピストンを動かす動力装置を開発していたが実現しなかった。
後にパパンはホイヘンスのアイデアを引き継ぎ、火薬に変えて蒸気の力でピストンを動かす動力装置を考え、これが蒸気機関の原理となった。
パパンの蒸気機関の原理は①シリンダーに水を入れピストンを挿入し外から加熱する。この時、②水は蒸気になりピストンを押し上げる、③ピストンが上がったところで動かないように止め、シリンダを冷却すると水蒸気は凝結してシリンダーの中に真空ができる、その時に止めていたピストンを離すとピストンは大気圧と真空の差圧により下降する。この工程を繰り返すことにより動力を取り出す蒸気機関を考えたが、実現はしなかった。
産業革命をリードしたイギリスでは石炭を燃料として使い始めていたが炭鉱には排水の問題があり、その排水ポンプには馬などが使われていた。この非効率な手段に代わる新しい動力源としてセーパリ(Thomas Savery1 650-1715))は蒸気を利用した揚水ポンプを考案した。
セーパリの揚水ポンプ
セーパリの揚水ポンプも実用化されることはなかったが、蒸気機関の実用性が明らかになった。
1712年にトマス・ニューコメン(Thomas Newcommen 1663-1729)はパパンとセーパリの方法を組み合わせ世界初の蒸気機関を完成させた。
ニューコメンの揚水ポンプ用蒸気機関
ニューコメンの蒸気機関はピストンを大気圧と差圧によって引き下げるのものであり、積極的に蒸気を利用するには至っていなかったが、鉱山での排水ポンプの動力源として広く利用された。