ホンダ ライフ
N360で軽自動車市場に参入したホンダから1971年6月に新しいコンセプトの軽自動車 ライフが発売された。
1971年ー1972年 ライフ デラックス
1970年代に入ると排気ガスによる公害が問題になり、アメリカでマスキー法が施行されるなどして、日本でも排気ガス規制が始まり、N360が高性能を強調していたのに対して、ライフはおとなしい使いやすさ重視の車へと変身した。
エンジンは空冷から水冷の変更され、カムシャフトの駆動は国産車では初めてコグドベルト(タイミングベルト)が採用され、振動や騒音が大きく緩和された。他のメーカーでは1980年代からの一時期にタイミングベルトが採用されるようになったが、現在ではベルトからチェーン駆動に戻っている。
この新規格のエンジンはアルミ合金製OHC 2気筒256ccで圧縮比8.8の30馬力/8000rpmと出力が抑えられていた圧縮比8.0の21馬力/6500rpmライフ・タウン用の2種類があった。
ボディタイプは2ドア4ドアがありホイールベースを長くしボンネットを短くして室内空間を広くとっていた。このころメーカー間の性能競争を抑制するために軽自動車の最高速は公表しない自主規制があった。そのため推定の最高速は4段ギアが105km/h、3段ギアが90km/hであった。
1971年ー1972年 ライフSL
1972年5月には若者向けにZ用のエンジンを搭載したライフツーリングが発売されたが人気はいまひとつ上がらなかった。
1972年ー1973年 ライフ・ツーリングGS
1972年6月にマイナーチェンジをし21馬力のタウンシリーズは4ドアだけになり、その年限りで生産が打ち切られた。同年9月には4ドアにツインキャブ36馬力のエンジンを搭載したライフツインが加わり、エンジンは30馬力と36馬力の2種類になった。
1972年ー1973年 ライフ スーパーデラックス
1973年 ライフ・ツイン カスタム
1974年 ライフ ハイデラックス
1974年 ライフGR
ライフの登場により軽自動車販売シェアでトップの座を取り戻したが、各メーカーから小型乗用車が相次いで投入され、また1973年には軽自動車にも車検制度が導入されたこともあり、軽自動車のメリットが失われていった。そのため軽自動車の需要が下降していき大衆車の需要は軽自動車から小型乗用車へと移っていった。
軽自動車の需要が低迷するのに反比例してこの時期に発売されたシビックの販売が好調であることから、狭山工場での軽自動車の生産を打ち切り、シビックの生産に変わり、軽乗用車市場から一時期に撤退することになった。