環境性能税の免税点制度
消費税が10%に引き上げ時に廃止される自動車取得税の代わりに導入される環境性能税は課税範囲が自動車取得税とは異なるため、自動車ユーザーの負担が増える可能性があります。そのため、平成28年度税制改正大綱では取得価格50万円以下の中古車と業者間取引は免除となることが決まりました。
取得税の税額は新車から経過年数に応じて課税標準基準額が減っていき、高額車両であっても新車登録から6年後には課税標準基準額が50万円以下の免税になります。
簡単にいえば低価格の車は課税標準基準額が経過年数が6年に達する前の早い段階で50万円以下の免税になり、高額車両であっても6年後には50万円以下の免税になります。そのため低価格の中古車の自動車取得税はほとんどが免税になっています。
環境性能税でも自動車取得税と同様に課税標準基準額50万円の免税点制度が維持されることが決まりましたが、課税方式が大きく異なるため、低所得層の自動車ユーザーの負担が軽減されるかどうかは疑問があります。
従来の自動車取得税では経過年数に応じて税額が減っていくため、低価格の中古車(低年式)の中古車では取得税は免税になるのに対して、環境性能税では新車または高年式の自動車のほうが低年式、低価格の中古車より燃費が良いのは当然であり、課税標準基準額50万円の免税点制度で低所得層の自動車ユーザーの負担を減らすには無理があるように思えます。
その他、商品中古自動車は環境性能税の対象から外されました。これは自動車販売事業者が販売目的でオートオークションから仕入れ自社名義にするなどの業者間の取引が対象になります。
消費税の引き上げに伴い廃止される自動車取得税により、地方税に穴が開きその分を環境性能税で穴埋めするのは課税する側の論理としては地方税収を補うとしては理解できますが、実際に税金を支払う自動車ユーザーにとっては消費税の負担が大きくなると共に環境性能税の負担があり、自動車取得税の廃止は単に環境性能税が導入され増税されたという印象です。